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ノームコア概念のアグリコア

ノームコア(Norm-core)は、normal(普通)、hardcore(究極、筋金入り)の２つの言葉を組み合わせた造語である。この意味をそのまま農業ファッションとして考えると、agri(農業)、hardcore(究極、筋金入り)となるので、昔ながらの作業服となり、ひねりもクソもないので、精神的な概念が強く出た農業ファッションスタイルとして、”アグリコア”と定義をしていきたいと思う。

日本では物質的な概念のノームコア

まず、日本でのノームコアという概念について書かなかればならない。日本では、２０１４年ごろあたりか。新しいファッションスタイルとしての輸入扱いであった。もちろん、ファッションスタイルの輸入なので、精神的な概念ではなく、物質的な概念になる。

無地のTシャツ(胸ポケットありが多かった)、スリムまたはスキニージーンズ、キャンバス系のスニーカーがよく使われるファッションアイテムとしてファッションメディアで紹介された。

アメリカニューヨークでは、物質だけじゃなく精神的な概念もある

ノームコアの捉え方、考え方、受け止め方など、ファッションのアイテムやスタイルを作るモノではなく、コトに比重が置かれている概念だ。ユースモードという集団的な文化を客観的に調査した、レポートがある。このレポートには４つの文化的側面がある。

【デスオブエイジ】：年齢による世代特徴ではなく、所属している(価値観と言ってもいい)文化圏のこと。キッズ、メンズ、レディースと展開するブランドが増えている。日本のファストファッションブランドではユニクロやGU、しまむら、アベイルなど。

【マスインディー】：物質が豊かになるに連れて、モノを所有、自分の個性を出す風潮が強くなり、自分だけではなく、周りも同じように行動し、結果的には均一化。考え方、価値観が同じなので、マイノリティ(インディーズ)だと自分では思っていても、周りと同調している一般的になる文化的側面だ。

【アクティングベーシック】：これはさきほどの”マスインディー”から逃げるような考え方。みんなが個性を競って、結果同じようになるのであれば、記号化(ブランド化)されたようなスタイルをしないで、控えめにシンプルにしようという文化的側面。しかし、結局は、みんなも同じように考えるので、みんながシンプルな方向にシフトする文化的側面。

【ノームコア】：アクティングベーシックが行き着いた先が、ノームコアである。これは、個性的でなければいけないという概念の脱却とも言える。単純にシンプルであればいい、同じ格好をすればいいという考え方ではなく、みんなそれぞれ違うんだと認める考え方と言える。ノームコアは表層的なファッションスタイルや相手とどちらがおしゃれかを競うのでもなく、改めて一度自分というものを振り返る文化的側面と言えるかもしれない。

アグリコアは、個人の好きな文化的農業ファッション

こう言ってしまうと身も蓋もないが。冒頭に書いたとおり、アグリコアは、ノームコアの精神的側面のみを取り入れた文化的農業ファッションと考えられる。ノームコアのノームは２つの意味があると考えてもいい。本来は、normalを短縮したモノだが、normという物差し的な測る意味合いもあるのだ。直接的な意味は水準、平均だ。つまり、相対的な物差しとしての概念と考えればいいのかもしれない。

ヨーロッパの民話に登場する大地を司る妖精にノームがある。地盤を司ると考えてみると、水準や測りを示す言葉としても意味が通じるのである。アグリコアは各々の個人が、独自に物差しを持っている農業ファッションスタイルとして捉えることもできる。

アウトドアテイストでもインドアテイストでもいい。スポーツテイストだってなんでもいいのだ。アグリコア、ノームコアは己を振り返るきっかけ的な考え方と言えるし、普通という考え方はあくまで相対的に見えることであり、生まれるものだという考え方でもある。