ロマンティックが止まらない…それが競走馬を育てる仕事

関東の美浦、関西の栗東の調教師に預ける前に、生産牧場・育成牧場でトレーニングをする仕事。牧場勤務から厩舎勤務まである。繁殖から見てきた仔馬が、晴れ舞台でG１レースに勝つなどしたらもうそれは大興奮だ。

毎日、馬の成長を見ることは大きなやりがいにつながるし、馬のたくましさ、やさしさに触れ、いつしか自分も優しい人間になっている。まぁ、それは人によるか…

ここでは主に生産牧場勤務について

調教師になりたい方は、騎手、牧場での経験があり、なおかつ調教師免許の合格が必要になる。この難易度は非常に高い。例え、合格をしたとしても、馬主から馬を預かり、厩舎でトレーニングをすることになるので、信頼関係が重要になる。

さて、それでは話を戻そう。まず、馬との信頼関係を築ける人材じゃないと務まらない。厳しいが、馬は敏感にどんな人間か？感じ取っているものだ。ここの時点で信頼関係が築けないようなら見通しは相当暗いと思っていい。

生産牧場の主な仕事

一番の大きな仕事となるのが、繁殖だ。牝馬への種付け、出産立ち会い、離乳までの育成がメインとなる。その後はセリでの売買…ハンマープライスである。

価格は、牡馬・牝馬共に、競走馬時代の実績、血統(ノーザンダンサー、ヘイルトゥリーズン系が有名)、すでに種牡馬が同じで他の仔馬が競走馬になっている、現在の実績などで決まってくる。安くプライスされた時は…落ち込もう。

日本の種牡馬記録を更新した、ベスト・オブ・リーディングサイアーことサンデーサイレンスは、ヘイルトゥリーズン系の血統。しかし、あまりにも優秀な競走馬を輩出した為、サンデーサイレンス系と呼ばれる。

サンデーサイレンスの代表的産駒に日本最強馬の呼び声が高い、ディープインパクト。そして、天皇賞秋での悲劇が忘れられない、稀代の逃げ馬であり、無冠の帝王の称号を得たサイレンススズカが有名である。あの武豊騎手も、勝負したらどっちが勝つかわからないというくらいの２頭である。

生産牧場の仕事内容

細かく見ていこう。

・放牧と収牧
馬をリラックスさせる、筋肉を鍛えるための放牧、厩舎の戻す作業を収牧。

・馴致
仔馬に「お前は競走馬だ！サラブレッドだ！」と自覚をさせるトレーニング。じゅんちと読む。人を乗せて走ることに慣れさせ、競走馬になるための人と馬の信頼関係を築く仕事とも言える。

・調教
イメージがつく人は多いだろう。鍛えることだ。ダート、芝、坂路、プールを使う。馬なりは馬の気分で走らせるトレーニング、強めは少し強制的に走らせるトレーニング、一杯は「オラ！走れ！強くならねーぞ！」という気合の鞭を入れる。

生産牧場と育成牧場のスケジュール

生産牧場と育成牧場でスケジュールは当然違う。育成牧場は繁殖には関わらない。

■生産牧場
04:00～05:00　起床・準備
05:00～07:00　馬の手入れ、放牧、寝藁だし、寝藁敷き、寝藁干し
07:00～08:30　朝食
08:30～12:00　集牧、手入れ、飼い付け、放牧地の清掃、水やり、周辺の草刈り、干した寝藁返し
12:00～13:30　昼食
13:30～17:00　飼い付け、放牧、寝藁だし、集牧、手入れ
17:00～22:00　夜飼い付け、就寝

■育成牧場
04:00～05:00　起床・準備
05:00～11:00　朝の飼いつけ、馬の手入れ、収放牧、馬房清掃、調教など（朝食・休憩）
11:00～13:00　昼食・休憩
13:00～15:30　草地管理、場内整備、調教
15:30～16:30　馬の手入れ、収放牧
16:30～17:00　飼いつけ
17:00～22:00　夜の飼い付け、就寝
《一日のスケジュール例（騎乗調教）》
04:00～05:00　起床・準備
05:00～07:00　騎乗
07:00～08:00　朝休憩
08:00～12:00　騎乗
12:00～14:00　昼休憩
14:00～17:00　集牧、馬の手入れ
17:00～22:00　就寝

via:第一次産業ネット

Horse Riders / blachswan