日本のファッション業界に大きな一撃を食らわす、採寸ボディデータ【ZOZOSUIT】。23万人の予約殺到で、生産が追いつかないほどの注文数で、遅延の結果は多くのユーザーからの期待の表れだ。
これまでのファッションの流れを変えてしまう【ZOZOSUIT】は、流通、デザイナー、パタンナーなどの仕事の役割も過去とは全く違うものになる。
【ZOZOSUIT】の存在が大きくなればなるほど、顧客を抱えている大手アパレルメーカー、ブランド側も顧客のボディデータを取ることが多くなり、今年のトレンドアイテムをオリジナルブランドとして既製品サイズを大量に作り、販売するモデルを根本的に変えることになる。
11月末より販売とお伝えしていたブランドZOZOですが、諸事情により開始が若干遅れています。大変申し訳ありません。近日中には開始しますので少々お待ちください。そしてZOZOSUITですが、想定数を大きく上回る予約を頂いており、生産拡大が急務です。明日より私も工場に出向き陣頭指揮とってきます!
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2017年11月30日
【ZOZOSUIT】のようなボディデータで経営を行っていくとすれば、リアル店舗を持つアパレルメーカー、ブランドなどは店舗という概念ではなく、ショールーム展開を加速させる要因になりえると感じている。
数年のトレンドでもある、基本デザインはベーシックで使いやすいブランドと、あくまでブランド側のクリエーションが強く反映された製品の2極化は、ファストファッションとハイエンドブランドの構図と一緒であり、ファッションスタイリングに慣れている層やコアな層は【ZOZOSUIT】のようなボディデータを利用する事はあまりないのかもしれない。
現に自分がそうだからだ。スーツも自分が気に入っているブランドや店舗でオーダーメイドすれば良いと考える。
レディースファッションのサイズ感は、私は男なのでよく分からないコトを断った上で書くと、【ZOZOSUIT】を利用するのは、ファッションに自信がない層、より自分だけのフィット感を求める層、オーダメイドスーツ関係向けではないだろうか。
あくまでも、ZOZOというPBを展開する上で、在庫を持たないようにするという部分では良いと思うが、そのサイズによる縫製、パターン、生地の量、生産コストによる価格帯は未知数だ。
例えば、多くのブランドが【ZOZOSUIT】と同じように、個々のボディデータを知ったところでどう対応するのか?
生産工程でパターンを変え、サイジングを1つ1つ変えるとなると、メーカー、ブランド側の生産コストは高くなり、今まで通りの採算を取るのが難しくなるだろう。
ブランド側は今まで通りの流通とバランスを取りながら、予約システム的な形、特別価格などで対応するのではないかと思う。
そして、あくまでカッコいいとかカワイイとか、センスがいいという概念で考えると、ボディデータを取るとはいえ、ジャストサイズとは何か?になる。
肉体の実寸サイズを取ったところで、本人のスタイリングを含めたジャストサイズを知ることはまた別問題になる。
コーディネートをした上でのサイズ感というのは、感覚的な要素が大きく、数値で測れるのものではないのでは?と思っている。
ファッションにおいてカッコよさ、カワイイ、センスがイイという抽象的な概念は、ジャストサイズに基づいているとはいえ、本人が持つファッションセンスに最後は左右される。
ユーザー視点で、【ZOZOSUIT】はあくまでも、自分のサイズ感がわからない人にとっての1つのベースになり、手助けとなる。
そして、ZOZOブランドのベーシックなオリジナル製品のクオリティに注目が集まる。